- 輸入材対応により既存のDKCと相互共存を模索
ステンレス(STS)厚板市場は米·中貿易紛争および国際石油価格下落にともなうグローバル重化学分野の長期景気低迷により国内の産業分野全体の受注不振が数年間続いている。
特にプラントや造船など製作会社の不良が頻繁に発生するなど、国内ステンレス厚板市況は厳しい時期を過ごしている。
2016年からSTS厚板需要の相当部分を占めていたIT真空チャンバー物量も米·中貿易紛争と半導体保安性問題で2018年進行予想物量の大多数が、取り消しまたは保留され業者の在庫負担が極に達している状況だ。
ただ、造船部門のLNG船舶が2004年以降、最大発注の増加と重化学工業部門も(LNG関連産業)海外大型プロジェクトが進められたことで、深刻な需要不振から少しは抜け出すことができた。
しかし、これまでの需要不振の影響により、価格競争は激しい状況だ。 また、ニッケル価格変動で業界市況は依然として低迷している。
SMスチール群山工場
このような状況の中、SMグループ(会長ウ·オヒョン)がステンレス(STS)厚板事業に本格的に参入した。 SMスチールによると、ステンレス厚板の需要が年間約14万トンに達するが、国内では一社が独占供給する体制で年間約7万トンに推定される物量を輸入しているのが実情だ。 これを受け、SMスチールは輸入を代替し、積極的に輸出を推進する計画だ。 今年5万トンを皮切りに下半期に追加熱処理で工事に入り、2021年には10万トンの生産能力を完成するものと予想される。
SMスチール群山工場は昨年12月末、ステンレス厚板製造用原材料であるポスコ産ブラックプレート(BlackPlate)の最初の入庫を祝うイベントを開催した。
会社によると、現在SMスチール群山工場は主要設備の設置が完了した状態だ。 各種設備に対する単動、連動テストをすべて終えた。 竣工式は2020年2月20日であり、3月中旬から本格的なステンレス厚板生産に突入する予定だ。 しかし最近、中国の新型コロナウイルス感染症の影響で竣工式行事を簡素に行うものと見られる。
また、第4世代レベルなど優秀な設備が保障する品質競争力、低コスト生産単価などで確保された原価競争力を土台に、これら輸入品を代替する方針だ。 また、海外ステンレス厚板生産工場に比べて品質、生産性、原価などの側面で最初から優秀工場を作り、世界市場でも早いうちに地位を確保するという戦略だ。 SMスチールは、従来の競合他社が作ることができなかったサイズ(6mm以下極薄材、100~150mm後物材、4,000mm幅の広幅材)を通じて、優秀な品質で既存の供給者が提供できなかった特典と新規需要を創出し、供給の安定性、納期の短縮という便宜性を提供する。
ステンレス厚板市場は数少ない独占的鉄鋼品目の一つだ。 ステンレス厚板の国内生産者はポスコが原材料を供給するDKC(代表取締役ソ·スミン)が唯一だ。 DKCが1990年から独占して生産供給している。 DKCは昨年初め、矯正機(レベラー)増設および倉庫棟新設工事を完工し、生産能力を精一杯に引き上げた。 また、品質、特に平坦度管理向上のために既存のレベルをアップグレードする予定だ。 この他、多様な需要(極薄、広幅、極厚物)に対応し、満足度向上のための設備投資を継続的に進めている。
特に、今回のSMスチールの加勢でステンレス厚板市場は業界生態系の変化に影響を与えるものと予想される。 SMスチールがステンレス厚板事業に進出し、国内全体の生産能力はさらに増える見通しだ。 規模が大きくなっただけに、ややもすれば両社間の過当競争につながる可能性が高い。 しかし、実質的に輸入材の代替市場攻略を通じて両社が相互共存できるものと見られる。
一部ではSMスチールの今回の事業進出を契機に健全な両者競争体制を通じた価格、品質、納期サービスなどの側面で需要家に有利な改善がなされるという期待をかけている。 また、主力事業と関連性の低いステンレス厚板事業に挑戦し、どのようなシナジー効果を創出できるか関心が高まっている。 しかし、この30年間DKCが占有したステンレス厚板市場でSMスチールがどれほど善戦できるかはまだ分からない状況だ。
一方、現在国内厚板総需要の約50%を輸入材が占めている。 その結果、顧客の発注から製品引渡しまで相当期間の納期がかかり、顧客会社は困難に直面している。 これを受け、両社間の激しいシェア競争も重要だが、何よりもステンレス輸入対応や市場安定化、品質検査装備の改善、差別化された表面材設備の設置や供給など、国内市場への地道な物量供給や輸入防御を通じた市場安定を優先的に図らなければならないものと見られる